赤い黒豹の呑んだくれ日記

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第140話 ジャパニーズ・ウイスキーの源流

  ココを見に来る人のほとんどは知っていると思うが、私は現在、北海道に長期出張中である。暑い関東から涼しい北海道に来たものの、独身時代とは違って好き勝手に浪費するわけにもいかないので、なるべく出歩かず、酒量も最小限に抑えようと考えていたのだが、ここ北海道にはニッカウヰスキーの工場があり、無料で見学ができることを思い出し、こちらで勤務している先輩に連れていってもらうことにした。


 千歳ICから高速道路に乗る。しばらくは田園風景が続くが、高速道路なので風景は「いかにも北海道」とはならない。札幌市内に入ると急に文明の香りが漂い始め、市内中心部の風景は強いて言えば名古屋に近い感じだろうか。そして札幌を抜けて小樽まで出る。高速道路はここで終わってしまい、その先は有名な運河沿いの倉庫などを横目に、一般道を走る。

 本土とは違う独特の建物を「気候も文化も違うせいか、なんか変だな」と、ずっと見ていてふと気づいた。なんと北海道には瓦屋根の建物がほとんどない!建物が古いか新しいかにかかわらず、ほぼすべての家がトタン屋根なのだ。ハンドルを握る先輩に聞くと、台風がないから屋根を重くする必要がなく、むしろ雪が積もっても家が潰れないように、屋根は軽くしておきたいのだという。そしてもうひとつ気づいたのは、古い家、板張りの木造家屋がかなり残っているということ。コレは昨年アラスカでも感じたことだが、どういうわけだか寒い地域に共通しているように思う。木が傷みにくいのだろうか。それとも良い木材を使っているのだろうか。


 さて話がそれたが、約2時間で我々は無事に余市町に到着した。目指すウイスキー工場は、何とJR余市駅の真ん前にあった。CMなどの影響か、山奥か森の中にあると勝手に思い込んでいた私にはちょっとした衝撃であるが、街より先に工場ができたのかも知れない。考えて見ればシャトー・カミヤも住宅街のど真ん中にある。これなら先輩に車を出してもらうまでもなく、自力で来ることが十分可能だったと、ちょっと申し訳ない気分になった。

 車を町営の駐車場に入れ、近くの食堂で昼食を取ったら、いざ工場見学へ。ヨーロッパの城門のような入り口に行くと受付の女性が、10分ほど待てばガイド付きのツアーに参加できると言うので、ガイドさんに案内してもらうことにした。ウイスキー製造の概要や、ニッカウヰスキーの略歴が展示された待合室で時間を潰していると、いかにもガイドさんという出で立ちの女性が現れ、我々を含む30名ほどが敷地内に案内された。


 まずは世界で唯一だという、石炭をくべて加熱する蒸留釜へと案内される。銅でできた、とんがり帽子が途中で折れ曲がったようなアレだ。予想していたほどではないが、それてもかなり大きな釜が並んでいる様子は迫力がある。帽子の折れ曲がった部分に注連縄が巻いてあるのがどうにも不釣合だが、解説によると、創業者の竹鶴政孝氏の実家が杜氏であったことに由来するらしく、良い酒が造れるようにとの願掛けと清めの意味があるそうで、その後に案内される樽の貯蔵庫の入り口にも、注連飾りが張ってあった。

 迫力ある蒸留釜の次に案内されたのは発酵棟。建物の内部にステンレスのタンクが並んでいて、いかにも食品工場といった感じだ。ここでは麦汁に酵母を加えもろみを作っているということだった。順路が前後しているが、ここで作ったもろみを蒸留釜で蒸留すると原酒が出来上がる。これを樽詰めし、貯蔵庫で寝かせてできるのがウイスキーなのである。


 この余市蒸留所はウイスキー工場でありながら、その歴史的建築物の数々から2005年に「北海道遺産」というのに指定されたらしく、味わいのある建物が幾つも残っている。また敷地も広大で、さながら庭園のようでもある。そして旧事務所や、移築されたという竹鶴夫妻の私邸なども保存され、見学コースとして公開している。


 レトロな建物を横目に一号貯蔵庫へ。ここは最初にできた貯蔵庫だということだが今でも現役バリバリのようで、かなりの数の樽が並んでいる。上を見上げると、クサビでとボルトでつながれた何本もの太い梁が、その建物の古さを物語っている。ちなみに樽の大きさは五右衛門風呂程度。テレビCMなどで目にする、身の丈以上もある巨大な樽ではない。もちろん蒸留所はこの余市だけではないのだが、年間2〜3%、10年熟成で3分の1ほどが揮発してしまうのだというから、この大きさの樽でウイスキーを熟成させ、世界中に供給するのは大変だろうなと思う。ウイスキーは今でこそ手に入れやすい物も多いが、それでもなお高級酒である理由がココにあるのだろう。

 続いて、貯蔵庫を改装したという資料館へ。ここにはウイスキーづくりの歴史や昔の道具、竹鶴氏ゆかりの品々やスコットランドにちなんだものなどが展示されているだけでなく、40種類ものウイスキーを、有料ではあるが試飲できるとのことだった。もし一人で来たなら一つ一つ見ていくところだが、ガイドツアーとあって眺める程度にしか見ることができなかった。また機会があれば、その時にじっくり見たいものだ。


 ツアーの締めはウイスキーの無料試飲、個人的にはココがクライマックスである。試飲会場とかかれたレストランホールのようなところに入ると、ウイスキー独特のなんとも言えない芳香が充満している。ウイスキーは度数が高く、あくまで試飲なので量としてはいわゆる「ワンフィンガー」に満たない程度だが、シングルモルト「余市」10年と、ピュアモルト「竹鶴」17年が1杯ずつ無料で試飲できる。周りの人々は水割りを作っているようだが、私はいつも通りストレートでいただく。もちろんチェイサーも忘れない。

 まずは色を見比べる。竹鶴は17年熟成だけあって、余市と比べやや濃い目の、ウイスキーらしい色。対する余市はきれいな琥珀色である。卵のてっぺんを水平に切り落としたような形の、飲み口がややすぼまったグラスを回すと、内側にきれいな泪が出来る。香りを嗅いでみると、余市は僅かに酸味が感じられ、竹鶴は華やかな香りだ。

 いよいよ口に含んでみると、どちらも華やかな甘い香りの方が特徴的で、ヨード臭もスモーキーさもあまりない「王道」な感じである。ウイスキーとしては飲みやすい部類だろう。ただ、若いはずの余市のほうが何となくまろやかで、竹鶴はより複雑、若干の苦味も感じられる。竹鶴は昔ながらのジャパニーズ・ウイスキーといった感じだが、私の好みはどちらかと言えば余市。ただ酒ネタの時にいつも思うのだが、ソムリエのように言葉にして表現できないのが残念だ。ウイスキーもバニラの香りとか、エステルの香りとか表現されるが、私には残念ながらよくわからない。

 たっぷりと時間をかけて2種類のウイスキーを存分に楽しんだあとは、定番のギフトショップへ。ココでしか買えないというウイスキーが10種類ほどある。味の違いを作り分けたのが5種類。1つの樽で寝かせ、一切ブレンドをしていないシングルカスクと言われる物が5年、10年、15年、20年、25年の5種類。大きさは180mlと500mlの2種類である。この中から味の違うシリーズを3種類、180mlで購入しアパートに送った。飲めるのは多分夏休みになってからだろうが、真夏にウイスキーも違う気がするので、そのまま冬まで手を付けないかもしれない。ちなみにシングルカスク25年の500mlボトルは、驚きの20000である。何年か後にお金に余裕があったら、残りのシリーズを買いに来たいものだ。





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